参加者のみなさん、よろしくお願いいたします。
・トレーラー 自慢のティーセットのくもりが晴れず、納得がいく一服も淹れられず、ロジンカは虚空を見つめていた。 理由は分かっている。 従者として、イヴァンに尽くせば尽くすほど、己が過去の記憶が鮮明に蘇っていく。
・・・。 従者となったことの運命を受け入れ、率先してその運命に従事した日々。 喜びに充ち溢れたその視線の先には、いつも必ずイヴァンがいた。 人知れず不死を望んでいるイヴァンをロジンカは知っていた。
だが、イヴァンより先に、神の恩恵を賜ったのはロジンカであった。 それからの日々は、ロジンカにとって苦痛でしかなかった。 底知れぬ民の期待と重圧に、イヴァンが祝福を受けられない訳、 神に対する疑念に、ロジンカの心は徐々に苛まれていった。
そんな折、あの道化師が現れる。 道化師は静かに笑いながら、イヴァンに近づいた。 「キミに不死の恩恵をあげよう」 イヴァンの天秤は大きく揺れ動かされた。 道化師の、ただの気まぐれで。
ロジンカの思考はここで止まる。 にやついた道化師の顔が記憶から出てくるのを拒んでいた。 今日も、あの御標とあの日の惨劇から逃げている。
イヴァンは今日の午後のティータイムを楽しんでくれるだろうか。
モノトーンミュージアム オリジナルキャンペーン 「悲劇は図書の国より降り来たる」 ロジンカ・アンスリナム物語 第七話 「簒奪者」
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